新編 志樹逸馬詩集

新編 志樹逸馬詩集

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新編 志樹逸馬詩集 若松英輔 編 亜紀書房 2300 + 税  『生きがいについて』の著者 神谷美恵子に大きな影響を与えその詩の引用もされている、詩人 志樹逸馬。  13歳でハンセン病を発病、多磨全生園に入り、その後岡山県の長島愛生園に移る。養鶏仕事のかたわらで、17歳から詩作をはじめ、43年の短い人生のさなかに60冊の遺稿を残した。  本書は彼の既刊の詩集『志樹逸馬詩集』『島の四季』の二冊の全詩と、遺稿から未公刊の詩を収録したものです。  25歳でキリスト教の洗礼を受けたという彼の詩の多くには、「神」という言葉もあらわれてくるために俗に「宗教詩人」と呼び慣わされてもきた志樹ですが、彼の詩のすばらしさというものはたぶん、そこにはないのだとぼくには思えます。  とうめいで静謐なひかりや風とあいまって、そこここに祈りをたずさえながら立っている、そんな彼の姿がこの詩集を読むなかで、ぼくの目には映ります。  しずやかな祈りとして書かれた文字はまるで、にんげんのちいさな世界をとりまき包みこむ、大きな大きな〈世界〉のそこここにちりばめられてある不可視のことばたちを、にんげんのことばとしてそこにそっと置き定着せしめたというような、そんな確かな存在感と、生きるものだけがもつ、やわらかな静寂とが、ひっそりと息づいてあるものです。  机のうえにかじりつき言葉を捻りだそうと苦心するものには見えないひかりの風のたゆたいと、そのとうめいな歌声をきく志樹逸馬のすがたにぼくは、詩人というひとつのかけがえのない〈場所〉の尊さを思います。そしての尊さとは、志樹に限定的な特別なものではもちろんなくて、生きとしいけるものたちすべてにあまねくある〈世界〉から遠く吹きぬける、沈黙の歌声なのであろう、と。  版元 亜紀書房さまではこの詩集の重版が決まったようです。初版たしか2500部でしたが何万部でも売れていくといい、これから先何十年も何百年も読み継がれていくといい、そういう詩のことばたちに出逢えることばこのうえなく、ぼくにはうれしいことと思えます。  たいへんに、おすすめです。