



後藤さんは、ほんとうに、詩を、愛しておられる方なのだと、思う。
七月堂の、後藤さんから新刊のお知らせをいただいたので、それを読んでいたのですが、そこに綴られた、切実な想いに貫かれたような文言たちのことを、みなさんにも、読んでもらいたいなあと、思いまして、以下に、引用させていただきたいと、思いました。後藤さん、失礼します。
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このたび発行する『ふたりはひとり』は、西尾さんにとって『光ったり眠ったりしているものたち』(BOOKLORE)より約4年ぶりとなる新詩集です。
創業より70年以上つづく、イスラエル発の革靴「NAOT」のウェブサイトに連載された詩に加筆しうまれた詩集です。
心と体を喜ばせてくれる靴を長くご愛用いただきたいというNAOTのコンセプトのもと、「ふたりの関係が長くつづくように」という思いをこめて、2019年4月~2020年3月にかけて12回、西尾さんの詩は連載されました。
西尾さんから原稿をいただき、深呼吸をしてから、一気に、でもじっくり最後まで読んだ後、もう触れることのできない大事な存在のことが、心に鮮やかに浮かんできました。
たとえ会えなくても、触れることができなくても、大事な人や存在との世界が、ゆるぎなく、これからもずっとつづいていきますように。
「ふたり」も「ひとり」も、同じように大事であれますように。
そんな願いをこめて本の制作にあたりました。
この詩集に目次はなく、本文には、短い、あるいはもう少し長めの詩篇がゆったりと並び、一篇の長編詩としてお読みいただくこともできます。
装画と挿絵は、かねてよりご一緒させていただきたいと願っていた、小川万莉子さんに描き下ろしていただきました。
ふたりとひとり。
こちらとあちら。
絵を拝見した時、そんな境界線を、淡くやわらかくつなげてくれるような印象をもちました。
また、力強い、根源的な生命力も同時に感じられます。
小川さんの絵は、さまざまな画材や蜜蝋などを使用されていて、今回描いてくださった絵はたいへん立体的な仕上がりでした。
それを撮影してくださり、繊細な調整をしてくださったのは詩人でライターの菊井崇史さんです。
幾度にもわたる微調整のお願いを快くお受けくださり、小川さんの絵の魅力を引き出してくださいました。
組版、装幀は、詩人の川島雄太郎さんにお願いしました。
詩のことばの響き、余韻、空白のページに広がる空間。
言葉にはできない、さまざまな存在をすくい上げていただきました。
制作に関わってくださった皆さまが繊細に心を砕いてくださった結晶が、本作品の存在感につながってくれたのではないかと、心よりありがたく感謝しております。
著者 西尾勝彦
四六判変形・上製・帯付き
108ページ
2000円+税
発行 2021年3月21日
発売 2021年3月下旬~4月初旬
ISBN 978-4-87944-411-7
装画・挿絵 小川万莉子
組版・装丁 川島雄太郎
撮影 菊井崇史
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本というものには、当たり前だけれども、たくさんの見えない手が、心が、関わってあるものだな、とあらためてそう感じさせてくださる1冊の詩集に、こうして、出逢えることが、とても、うれしい。
うちの店では、西尾さんの2冊の本が、よく売れるものですからこの本のことも、楽しみにしてくださる方が、きっと、多くいらっしゃるんだろうなあと思い、すぐにお礼のメールとともに、注文をさせていただいて、本日、届きました。思っていたとおりに愛に溢れたこの1冊の本を、どうぞ、あなたの手にも、と想います。
見えない場所で、つながれていく、手と手が、あるものですね。