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岐阜県に在住のイラストレーター・絵本作家の、くらはしれいさんの絵本が、前から気になっていたので、入荷しました。
『こねこのトト』
作 くらはしれい
白泉社
1400円+税
くらはしさんの描く絵を初めて観たのは、確か、X(旧Twitter)でのことでした。
レトロな海外絵本のような絵のタッチ、絵柄、色合い。キャラクターのデザイン。そのかわいらしく、おしゃれな感覚に、ああこれは人気だわなあと思いながら、彼女の描いたイラストを、いろいろ観ました。
同じ岐阜県の、どこに住んでらっしゃるのかは、存じないのですが、これもご縁と、いつか仕入れようと思っていたのでした。
この絵本、とにかくこのトトというちいさな黒猫の、天真爛漫さが、かわいらしい。その他にもいろいろな同居猫が、描かれているんですが、トト。この子の、いろんな愛らしい仕草に、猫好きは、心動かされるのではないかなと思います。
全体的にあかるく、かわいくて、愛の詰まった絵本なんですが、その背面にある、確かな手触りのあるさびしさ、恋しさ、愛の希求のようなもの、そして、そこから、こうして、さまざまな方々に愛されるようなものが、うまれてくること。
質感として、それは、絵の質感というよりは、その絵がその絵としてあらわれたところの、その底に流れているものや、Twitterの文体などから、うちで前に展示をしてくれたイラストレーターのながつかゆうかさんのことをふと、思わずにはいられない僕です。おふたりにはきっとなにか似たところがあるのでしょうね。ながつかさんもくらはしさんの絵、よく観てるということも、前に話してくれていたし。
さびしさ、恋しさ。なにかを求め、愛にふれ。かわいいものが満たしてくれるものが、確かにあります。そのかわいさと共にあることで、満たされるものが。
そしてこの絵本の最後のスパイス。最後のページ。
このチャーミングな毒っ気も僕は好きだなあと感じました。