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撮影20 年の集大成。大竹英洋初の本格写真集
2021年 第40回 土門拳賞を受賞致しました! !
20年に渡ってノースウッズに通い、自然の営みとその土地の人々をまっすぐに見つめてきた大竹氏。
大竹氏の力強くも繊細な写真と言葉の表現が、一冊の写真集として結実しました。
受賞を機にまた多くの方に手に取っていただき、この写真集をお楽しみいただけましたら幸いです。
大竹英洋・メッセージ
自然の奥を旅して、その先に見えてくることを伝えたい。そして、人間と自然とのつながりについて、共に考えてゆきたい。大学時代に始めた山登りを通して、そんな願いを持つようになり、伝える手段のひとつとしてカメラを手に取りました。
卒業後すぐの1999 年、日本では絶滅した野生のオオカミをこの目で見るために、アメリカのミネソタ州北部の森を訪れたのが、ノースウッズとの最初の出会いです。それ以来、情報もないまま森に分け入り、この地で生まれたカナディアン・カヌーを駆使して湖面に漕ぎ出すうち、フィールドはカナダの原野へも広がってゆきました。
通うたびに新たな発見があり、多様な野生動物たちが、それぞれに環境に適応して生きている姿を目の当たりにしてきました。そして、雷による森林火災でさえもただの破壊ではなく、豊かな生態系を保つ大切な役割を担っていることを知りました。
この地で狩猟採集の暮らしを営んできた先住民アニシナベ。彼らがなぜ、自分たちをとりまく自然を「ピマチオウィン・アキ=生命を与える大地」と呼ぶのか。その理由が、20 年を経た今、ようやく少し理解できる気がするのです。
動物も、草木も、人間も、さらには、岩や水、火や風や雪といった、あらゆる存在がこの地球から命を与えられ、生かされている。この写真集が、私たち人間にもう一度そのことを思い出させ、より良い未来について考えるきっかけとなることを願っています。