〈北海道から九州まで〉
古代薫る地を往き、食べた、〝原日本〞の風景と暮らしに迫る異文化食紀行
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蕨(ワラビ)/ 蕗(フキ)
屈(コゴミ)/ 楤の木(タラノキ)
薇(ゼンマイ)/ 蕗の薹(フキノトウ)
栃の実(トチノミ)/ 孟宗竹(モウソウチク)
行者大蒜(ギョウジャニンニク)/ 山葵(ワサビ)
若布(ワカメ)/ 天草(テングサ)
海蘊(モズク)/ 茗荷(ミョウガ)
杉菜(スギナ)/ 銀杏(ギンナン)
二輪草(ニリンソウ)/ 大姥百合(オオウバユリ)……
農耕以前よりこの国で食べられてきた野草や海藻。
「栽培作物」にはない、その滋味あふれる味わいと土地ごとの記憶をたどる旅が、今はじまる。
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日本の豊饒な自然に触れることで、食料を大切にしたいと思えるし、ささやかな料理の楽しみが味わえる。こうした気持ちは栽培食物からはまず得られない。(「はじめに」より)
──〈和歌の世界に誘われながら、時空を超えた食の旅へ〉
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【もくじ】
■日本語版刊行によせて
■はじめに
第1章……道端の雑草、森の驚異・春の新緑
■熊本──秘伝の天ぷら
■長野──アファンの森
■福井──フキの葉包みのおにぎり
■金明姫さんの「フキの葉包みのおにぎり」
第2章……生命の木・トチノミの盛衰
■滋賀──トチノミを食べて生き延びた日本人
■トチノキとトチノミの歴史
■トチノキを守れ
■トチノミを作る人たち
■トチ餅風「栗餅あげだし」
第3章……饗宴と飢饉・ワラビの二面性
■岩手──中世から伝わるワラビ餅
■ワラビは貧しさの象徴か? 高貴な食べ物か?
■西和賀町の「ワラビ海苔巻き」
第4章……世界でいちばん背の高い草・天然物でもあり栽培物でもあるタケノコの物語
■京都──魅惑のタケノコ
■タケノコで世界を変える
■モウソウチクの仕入れに同行
■たけのこ懐石を味わう
■秋田──タケノコとマタギ
■うお嘉の「鏡煮」
第5章……海の四季・海藻の消えゆく伝統
■徳島──天然ワカメを求めて
■ワカメの水揚げ
■石川・能登──歴史と生きるアマ
■大きなものを失いつつある
■北泊の「生ワカメのしゃぶしゃぶ」
最終章……天然食物と共に生きてきたアイヌ
■北海道──狩猟採集とアイヌ民族
■二風谷再訪
■大勢で食べる山菜汁「キナオハウ」
野草・海藻ガイド
■注
■謝辞
■訳者あとがき