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とまる、はずす、きえる -ケアとトラウマと時間について- /宮地尚子 村上靖彦

2,200円

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トラウマ研究と、医療・福祉の現象学の第一人者が、 具体と抽象を行き来しながら紡ぎ出す、比類なき対談集。 「学問的な硬い概念では取りこぼされる人間の経験の微細なニュアンスについて、考察することへと宮地さんも私もいざなわれた(「まえがき」より)」――村上靖彦 「表面的な言葉の群れにとどまらない、なにか微かだけれども、底流に流れている大切なものを拾い続けられたらと思う(「あとがき」より)」――宮地尚子 line2.gif [目次] まえがき  宮地尚子 まえがき  村上靖彦 I 聞く、読む、書く 第1回 「それる」――ケアと時間 2021年8月19日(木) 画期的な自前の理論  海、空、地  事象をいかに記述するか  聞き手であること  現象学で語りを記述する  本当に役に立つケアを考えるために  ジェンダーの視点  現場に巻き込まれる  時間  時間を支配される  「それる」の時空間  カントとレヴィナスはどこにいたか  トラウマの時間(質疑応答1)  時間の濃淡(質疑応答2) 第2回 「もどる」――リズムと身体 2021年9月27日(月) 逆進化/フラッシュバック  (逆)進化はどこまでいくか  「記憶」を考える  一部圧倒性・一部了解不能性  バイアスを解(ほど)く  わたしは眠るときに誕生する  自分の身体からは離れられない  交わらなさ・ずれ・かみ合わなさ  臨床を書く  「言語以前」を考える  臨床のポリリズム(質疑応答) II 動きをみつめる 第3回 「とまる」――生とトラウマ 2022年2月19日(土) 東日本大震災と立体交差的に折り重なる時間  「とまる」をどう考えるか  とまっている人のなかでは何か起きているのか  緊張・弛緩、可逆・不可逆  踏みとどまる  とまれない  反出生主義の環状島  アクターネットワーク理論  デカルトは独我論的なのか  見送る側にとっての「死」  当事者性を生きる  エージェントとしての遺品  失われた時を求めて 第4回 「すぎる」――痕跡と生存 2022年3月11日(金) 三つの生き延び方  ベンヤミン、ヘンリー・ジェイムズ  個別の仕方で生き延びる  当事者と代弁  「歴史の概念について」と当事者の位置  免責されるとき  アウラとは何か  アウラとイリア  きえゆくものを語る  きょうだい児  転向と改心  裁く側に立つ  事なかれ主義 第5回 「はずす」――ユーモアと曖昧さ 2022年4月29日(金) 自分自身と出会い損ねる  ラカンとユーモア  視野狭窄から抜ける  ラカンと治療プロセス  ジャンプ・跳躍  「はずす」という言葉  「しらふだと怖い」  アタッチメントとタイミング  世界からはずれる、世界をつくる  曖昧な存在を考える  ゴドーを待ちながら 第6回 「きえる」――記憶と圧力 2022年6月5日(日) 5月広場の母たち  聖別・選別・復旧・抹消  ウポポイ  内海の歴史  家族の歴史  もう一度浮上する  抹消の記録  記憶がきえる・存在がきえる  喪失と消失  現象学の出発点  過去はどこにあるのか  「きえる」の輪郭をつかむために  予感と余韻 あとがき  宮地尚子 あとがき  村上靖彦 line2.gif [著者]宮地尚子(みやじ・なおこ) 一橋大学大学院社会学研究科教授。精神科医、医学博士。専門は文化精神医学、医療人類学、トラウマとジェンダー。著書に『環状島=トラウマの地政学』、『トラウマの医療人類学』(以上、みすず書房)、『トラウマ』(岩波新書)、『ははがうまれる』(福音館書店)、『トラウマにふれる』(金剛出版)、『傷を愛せるか』(ちくま文庫)など多数。 [著者]村上靖彦(むらかみ・やすひこ) 大阪大学大学院人間科学研究科人間科学専攻教授。専門は現象学的な質的研究。著書に『摘便とお花見』、『在宅無限大』(以上、医学書院)、『子どもたちがつくる町』(世界思想社)、『ケアとは何か』(中公新書)、『交わらないリズム』(青土社)、『「ヤングケアラー」とは誰か』(朝日選書)など多数。

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