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《 日本精神史のシリーズ〈叡知の書棚〉第3弾 》
イエスを探すなら『聖書』のなかの言葉にだけでなく、眼前で生きる人のまなざしの奥にその姿を探さねばならない。
苦難を生きる人たちが生きる姿によって語る無音のコトバ、その光によってイエスの生涯を受容し直そうとすること、そこに井上洋治の神学の現場があった。
──若松英輔
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日本を代表するカトリック司祭にして作家・遠藤周作の盟友としても知られる井上洋治(1927-2014)の代表作。
イエスとその言葉をめぐる通説や常識に挑んだ井上神学の苦闘を記す本書は、刊行当時、異例の反響を呼んだ。
日常と思想、信仰を架橋し「キリスト教は日本人を救えるか?」を探究する日本精神史の必読書。
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【目次】
〈 第一部 日本人の心で読む聖書 〉
■第一章……ことばといのち
■第二章……聖書を読むにあたって
■第三章……イエスの生涯
〈 第二部 イエスの教え 〉
■第四章 イエスの神・アッバ(父よ)
■第五章 神の国・永遠の生命
■第六章 キリストの生命体[からだ]
■第七章 悲愛(アガペー)
■第八章 幼子の心・無心
■第九章 悲愛の突入
■あとがき 『日本とイエスの顔』をふりかえって
■[増補]遠藤さんのこと
■解説──語られざる神学を求めて……若松英輔
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(四六判上製/344頁)
著者紹介
井上 洋治(いのうえ・ようじ)
1927年、神奈川県に生まれる。東京大学文学部哲学科を卒業。1950年、遠藤周作と同じ船で渡仏。カルメル修道会に入会、修道のかたわらリヨン、リールの各大学で学ぶ。1957年、カルメル会を退会し、日本人の心情に合ったキリスト教を広める決意をもって帰国。その志を再会した遠藤周作と共にする。1960年、司祭となる。遠藤を通して作家との交流も深く、高橋たか子、安岡章太郎らに洗礼を授ける。その志の実践として1986 年以降、若者らと共に「風の家」運動を主宰し、機関誌「風」を発行する。良寛を愛し、法然に傾倒する日本人神父として親しまれる。2014年3月8日逝去。『井上洋治著作選集』全10巻+別巻全詩集(日本キリスト教団出版局)など著書多数。