石好きが、庭文庫まわりにもよくいる。僕も時期によって変わるが、やはり、石に魅惑されてきた。うちの店に置いてあるロジェ・カイヨワ著の、『石が書く』という本のなかに出てくる奇妙で美しい模様を内側に秘めた石たちには、観るたびに、どきりとする。
この本は、徳井いつこさんによる、石をめぐる、石に耽溺する方々の逸話を集めたエッセイである。古今東西を問わず芸術家たちのなかには、石に魅惑されてきたものが、多くいる。
徳井さんはうちで前に売っていた『スピリットの器 プエブロ・インディアンの大地から』の著者の方です。あの本も実にいい本だけれど、この本もよさそう。新装復刊で題名が変わったようです。
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夢みる石
石と人のふしぎな物語
徳井 いつこ 著
創元社
2420円税込
内容紹介
なぜ人は、石に惹かれるのか?
「なぜ人は、石に惹かれるのか?」
宮沢賢治、木内石亭、ゲーテ、ユング、オキーフ、世界各地の神話伝承…。
石から生まれ、石に魅入られ、石に耽溺する人々の逸話を集めたエッセイの名著『ミステリーストーン』が装いも新たに復刊。
宝箱に石をしまう子どもから、山を駆けずりまわり夢中で石を掘り出すコレクター、高らかに石を讃える詩人たち、石に霊性や効能を見出す人々まで、石と人とが織りなす奇妙な物語のなかに「あなたの石」も見つかるかもしれない。
目次
◆1章 私の部屋から
◇石の履歴
大事箱と鼻煙壺
モルダヴァイト狂騒曲
アイスマン・エッツィの黄鉄鉱
緑の石、赤の石
アイアンローズ、デザートローズ
◆2章 石ぐるい
◇石に落ちる
家庭問題
運の人
夢の石
石談より他を禁ず
◇石に踊る
初めてのトパーズ
手づくりの指輪
自形、他形
鳥になりたい
アラジンのランプ
雲母の河
◇石に語らせる
石だけがわかる?
石が私か、私が石か
集合的無意識
ユングのなかの他人
臨死体験と石
錬金術との出会い
石の心臓を取りだすべし
塔の家
◇石をうたう
石っこ賢さん
古文書学者たる詩人
ゲーテ鉱
◇石を読む
オキーフのバッグ
エルンストの幻覚体験
カプリコーンヒル
ピクチャーストーン
◇石に惑う
あばらや石、やぶ石
差出人のない手紙
物語の種子
◆3章 うごめく石
◇異界へのドア
ストーンボーイ
ヤコブの枕
ニーチェの受胎
超人の死
宇宙に浮かぶ石板(モノリス)
◇気まぐれな魔女
守る石
石神
呪う石
動かすべからず、もち帰るべからず
◇石の薬局
石を食べる
宝石療法
万能吸い取り石
◇石の饗宴
植物のように
石の出産
石の雨
◆4章 博物館にて
◇石に暮らす
石くれ小僧
標本整理請負人
身近な謎の物体
◇バナナになった石
人間はどこから
石の庭園
*
あとがき
参考文献
[著]徳井 いつこ(トクイ イツコ)
徳井いつこ(Itsuko TOKUI)
神戸市出身。同志社大学文学部卒業。編集者をへて執筆活動に入る。アメリカ、イギリスに7年暮らす。手仕事や暮らしの美、異なる文化の人々の物語など、エッセイ、紀行文の分野で活躍。自然を愛し、旅することを喜びとする。著書に『スピリットの器――プエブロ・インディアンの大地から』(地湧社)、『ミステリーストーン』(筑摩書房)、『インディアンの夢のあと――北米大陸に神話と遺跡を訪ねて』(平凡社新書)、『アメリカのおいしい食卓』(平凡社)、『この世あそび』(平凡社)がある。
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目次と文体でもうこの本がかなりおもろいのは直観されるでしょう。これも僕も読みたい。