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対談をさせていただいたものが、収録されている本が刊行されました。庭文庫と同じ岐阜県、郡上石徹白にて「あわ居」という素晴らしい場所を営む、岩瀬崇さんによる新刊本、『あわ居 〈異〉と出逢う場所』、たくさん送っていただきまして、店に並べました。販売開始です。
「あわ居」と岩瀬崇さんについては、これまでに彼が刊行されてきた、うちでも取り扱いのある3種の本や、前に彼がうちで催してくださった書の展示などをつうじて、 SNSで何度も書いてきました。
岩瀬さんは僕と同い年の書家で詩人であり、現在はこの本のテーマである「あわ居」という場所を営んでおられます。「あわ居」に、僕はまだ訪れることができてはいないのですが、岩瀬さんの紡がれた言葉を通じてふれる「あわ居」という特異な場所には、僕が庭文庫で大事に思う事柄と通じる、それぞれの生、かけがえのない生への祝いのような心性が、強く生きられ、ある稀有な形を成していると感じています。単なる宿泊所なのでなく、岩瀬さんとの対話や傾聴を通じて、岩瀬さんの奥さまである美佳子さんの手料理を通じて、それから、白山信仰の重要な土地である石徹白の自然にふれて、言語、声、風景、沈黙、誰かと誰かや、なにかとなにか、誰かとなにか、…この地上におけるあらゆるのあわいに実在する〈ことば〉をめぐりながら、それと共にありながら、居ながら、そこに個々人を通じて生まれくるもの、個生を新たな、異なりへと、まあたらしい生へとひらかせるような、そんな様々なる体験を包含する、とても稀有は時間であり場所を制作しておられるのだろうなと、僕は、観ています。敬愛する芸術家であり、思想家であり、実践者です、彼は。
今回刊行されたこの本は、そんな「あわ居」という場所についての、総合的なガイドブックというよそおい。そして総合的なものだからこそ、単にこれまでのような、岩瀬崇という人間の生の痕跡が語られるばかりでなく、妻の美佳子さんの随想があり(これが個人的には、なんだか収録されてとても嬉しい)、僕も仲間に入れていただいた、「あわ居の研究」という、さまざまな分野における専門家たちと崇さんとの対談の収録や、「あわ居」で体験できることのまとめから、体験者たちへのインタビューのまとめなど、多角的に、そして、「あわ居」という場所らしく、人々のそれぞれの語りの集合的時場としてそこにうまれる、そのあわいにあるものを、総合として浮かび上がらせるような、そのような技法で制作された書籍となります。相変わらず造本も凝っておられます。
「あわ居」に行ったことがある方々にも、そしてなにより、まだ「あわ居」へ訪ねたことがない方々や、「あわ居」のこと知らなかった方々、それから、岩瀬崇さん美佳子さんのことを知らなかった方々にも、この特異な素敵な場所のことを、より広くいろいろな人に知ってもらえたら、そう思いつつ、販売をさせていただこうと思います。自分の人生を、確かに生きてみたい方や、自分自身の芯から生える言葉を紡ぎたい方、日常のなにかに倦み疲れ、新たな世界の開けを欲する方々など、現今の日本社会、さまざまな社会のなかでの常識や固定観念に縛られ苦しむ方々に、新たな生を、世界を開くきっかけとなる本であり、場所であると、僕には思えます。
よかったらお手にとってみてください。岩瀬さんの既刊本3種も併せてぜひ。web shopにもあげますね。来年は岩瀬さんとこの本の刊行記念イベントもやりたいねと、話していますので、どうぞ、お楽しみに。
ももせ