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帰路/Shiho Matsuno

1,800円

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展示中のShiho Matsunoさんの第二写真集『帰路』。web shopに載せました。売りたい。売りたいと思う。それは商売のためでなくて、彼女のこのほんとうに筆舌に尽くしがたいほどに素晴らしい作品集を、ほんとうにそれが感じられる方々に届けたいからだ。それが、本屋である僕の仕事。大切ななによりの仕事だからだ。 ⁡ この作品を、どうか手にとり、観てほしいと思う。彼女は写真家を名乗らない。それはそうだ。そうだと思う。だってそれは、職業でない。こんなにも生命なのだ。こんなにも。 ⁡ どうか受け取ってほしいと願う。今僕が一番売りたい本はこの本である。それは間違いがない。どうぞ観てやってほしい。きっとわかる。わからないけれども伝うはずだ。 ⁡ 生命とはこんなふうに現われるのだ。と。 art。 僕はこの本を売りたい。 買ってほしい。 ほんとに思う。 よろしく。 ⁡ ✳︎以下は今しがた家の書斎であらためて観たこの『帰路』を受け取り紡がれたものです。✳︎ ⁡ ⁡ 全ての写真が傑作の場合に、そして、その連なりのなかに生まれる写真集に、その生命のまるごとが確かな振動を有する場合、言葉をそこに添えることは、どこまでも困難になる。こんなにも痛切な、切実な、生自体である写真集が生まれたことに、僕は驚くことすらできないという奇怪な感情と表明が湧く。どこまでも、こうある、こうあったという、そのまことの意図のなさ。理由のなさ。わけのなさ。分からなさ。解けられなさ。どこまでもしずやかに、流れる。それはしかし、全てを許せた穏やかさとは違う、いまだ、深く暗く、遠くにある、けれど、確かに、聴こえる。わたしを呼ぶのは誰? Who' calling me? わたしはたぶんその声を、知ってる。わたし未然形のそのわたしですらなかったものから、わたしたち、生まれた。時間は、巻き戻らない。でもわたし帰る。帰ることができるきっとね。赤子が咲う。そうだそこに生まれたんだよきみはね。娘が笑った。あの子も、笑う。静かなその暗がりの目の中に映るものを僕にも見せて。そこにある悲しみを僕にも。僕たちはどこから、来たんだっけ。ねぇ。ねぇ。呼んでる。よ。 ⁡ 痛みはいつもかなしみに裏打ちされた振動の捩れ。具にその身を打ち続けるその無音はけれど聴こえる。僕は抱きしめる。けれど届かない。そこには僕はいけない。誰もいなかった。怖かった。身をすくめ風音を聴く少女の眼玉。真っ黒でとてもうつくしい夜空の星みたい。灯りはまだか。軽くなる。けれど重みを残すのだ。だって生きたい。生きて溶けたい。ふれたい。震えたい。帰路に立つ。怖い。こんなところを歩く。怖い。嫌だ。帰りたくない帰りたい。さみしいと知った。わからない。わかりあえない。ふれられない。ともすると殺してしまうかもしれない。怖い。痛い。やだ。やめてよ!!! ⁡ わたしって。 わたしってなぜ。 。 。。 。。。 ⁡ 涙がでない。流れない。 生命は、流れるのに、 どうして? ⁡ 弱いわたしではあれなかった。 賢く、強く、 いつでも刃向かう。 だって誰もわたしのことを守ってなど くれないのだ。から ⁡ でも。 ⁡ 怖かった。苦しかった。 泣きたかった。 抱きしめられたかった。 置いてかないで。 これはわたしの声じゃない。 わたしはわたしだ。 おまえはわたしにはなれないはずだ!!! ⁡ 刃向かう切先のふるえる美しさ。 透明にふるえた、           いのちの音色    暗闇のなかいつも聴こえた      あの音色を頼りにして風が吹く    ひゅーひゅー吹くどこから?どこまで? 旅にでる わたしたち旅立つ 風景はゆれた 出逢う 出逢え 出逢った 何ものでもなかったいのちだった… ねぇ聴こえる? ねぇ 眠りたかった深く安堵をし風になり そんなことあんたにはわからないでしょ 勝手を書くな ごめんでも… わたしはわたしだ刃向かうな怖いから。 あなたはあなた 彼方のあなた 震えゆすれる あなたの眼には大粒の涙色 景色は消え風は凪ぐ 風景はゆすれた なにものもわすられた いのちだけいのちだけの遠い道筋に立った… あなたがたのいのちの背後にあるものは        そこいらにあるものですかね?   いえ、それはいまもいつでも     そこにはあるふるえあるものです   溶け入るとは そゆことなのですからね   目深に帽子をかぶる男がいう ⁡ 帰路にたつ。ここでは名もなきものに還る。還るのはきっと生きるから。生きようとするから。だから帰るよ。今。今。今という時以前にの震える声を聴きながらね。彼女は笑った。そんなことは無かった。彼女は笑う。でもそうだった。確かにいる。彼女はいる。そしてその写真は素晴らしい。この写真集に出逢えてよかった。生きてきてよかった。そう思わせてくれるものがほんの時々ある。これはそういうものだ。僕は何度も観返し考えるだろう。想うだろう。そこにある微分化することも困難なる全てを生命を。愛してしまうだろう。 ⁡ ✳︎ ⁡ ももせ

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