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◾️瀀さんによる紹介文◾️
宮沢賢治『新編宮沢賢治詩集』
あまりにも有名な詩人だからこそ、私はこの人の詩が好きだと素直に言えない。言ったことがない。
みんな読んでるに決まってるという声が、頭の中で渦巻く。
そんな自意識と天邪鬼と偏屈を抱えながら、この詩集を開くと、人のかたちを裂き、吹き飛ばす嵐の言葉にやられてしまう。
苛立ち、悲しみ、俗っぽさも含めた情動。情念。
周囲に確かに広がり、響かせるような、力強い風景、堆積した時間の呼び声。
その両方を分けないこと。変にノスタルジックにも、知的にもしないこと。
この世に埋没しながらも、書かざるを得なかったということが、ひしひしと伝わってくる。
お金がなかったり、引っ越しだったりで、本を売る機会は度々あったが、どうしても手放せず、ずっとある。
◾️版元紹介文◾️
雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ……。今だからこそ心に刻みたい賢治が残した力強い言葉。
宮沢賢治の詩は、その圧倒的に豊富なイメージと斬新な語彙で、人々に新鮮な驚異を与えてきた。三十七年を多彩に生き急いだ彼は、常に自己の内奥に修羅を見据える。その熱いモノロオグは、山野を跋渉し森羅万象と交響して生起した心象のスケッチから生命を得、たゆまぬ推敲・改作をへて眼前の形に昇華されたのだ。賢治の詩の世界のエッセンスとして慎重に抽出された132篇を収録。