









〈世菜さんによる紹介文〉
◯ワンダ・ガアグ 文・絵/ いしいももこ 訳 『100まんびきのねこ』 福音館書店
子どもの頃
毎晩寝る前に母から絵本を読んでもらっていた
幼い私のいちばんのお気に入りだった、この本
素朴な線で、ところせましと描かれた無数の猫たち
かわいくてかわいくて、
眠気も忘れて、一匹いっぴきの表情に夢中で見入った
しろいねこ
はいいろのねこ
しろくろのねこ
ここにもねこ、あそこにもねこ...
この頃、「猫」はまだ「ねこ」だった
世界でいちばん好きなひらがなだった
ね こ
漢字で書けるようになったのはいつからだろう
母の「おしまい」を聞くか聞かないうちに
「もういっかい」「もういっかい」と何度もせがんで、
母はそのたびに繰り返し読んでくれた
その記憶をいまも母は、
大人になった私にうれしそうに話す
まるで昨日のことのように
世菜