











◾️瀀さんの紹介文◾️
穂村弘 作・酒井駒子 絵 『まばたき』 岩崎書店
幼児教育の勉強をしていた大学時代、絵本は「読み聞かせるもの」だった。
年齢に合った内容であるか、読み聞かせるための導入をどうするか、読み聞かせている途中で子どもが話してきたら、どうしよう。
「読むもの」、私が飛び込むもの、受け取るものとして出逢ったのは、大学院に入ってからだった。
教授や現職の幼稚園の先生を交えて、絵本カフェをしようということになった。好きな絵本について語り合いながら、お茶をする、そういう会。
小さい頃、絵本をあまり読んだ覚えがない私は困り、大学図書館の中にある、こども図書室に行った。
絵本や児童文学がたくさん並んでいて、クッションがあり、フローリングに寝転ぶこともできる。
膝をつき、気になった絵本をとり、寝転んで、読み始める
時間がゆっくりと流れ始める。
その時一番入り込んで読んだ絵本が『まばたき』だった。
絵本にある固有の時間。
絵本は言葉や描写量が少ないものが多いのに、ページをめくるスピードが速くなることがない。味わう。読み進めるとか、読み解くではない、読む体験。そこに時間があって、私は憩うことが、楽しむことが、悲しむことが許される。
目に見えている世界の中にある、見えない瞬間。
その緊張、その驚き、そのざわめきを味わう。