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在ることの不思議。僕は、これまで数えきれないくらいその不思議と向かい合うように思考を紡ぎ壊ししてきたが、あなたも一度はそんな不思議について思いを巡らせてみたことがないだろうか。どうして僕はいまここに在る。あなたはそこにいる。在る。どうして? 在るから在るし、居るから居るんだろう。そりゃあそう。だが。なぜ。なぜなにもないのでなく、なにかが、これほどまでに多彩なものが在る。この星が。人が。世界がある。なぜ?
そんな不思議を思う方々にぜひとおすすめをしたい1冊の本が、この本だ。日本の哲学者の本の中でも僕などは、この本やこの著者古東哲明さんの書いたものに出逢えた僥倖は、大きい。とても読みがいのあるものを書く方である。『他界からのまなざし』が紙の本では品切れになっているのが、惜しい。復刊願う。
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〈在る〉ことの不思議
古東哲明
勁草書房
3300円税込
ハイデガーを咀嚼し、多彩なテキストを通して、存在の〈異他性〉に迫る。澄明な文章が織りなす哲学の始源の問い。
はじめに
序章 うつつの夢
I 生きられた現実、あるいは夜
1 森は逃げていく
2 生きられた瞬間の闇
3 夜の目覚め
II 言語と非言語
1 騙られた世界
2 非言語の要請
3 非言語の非場所
III 滅びのなかの生成
1 存在:無:同一
2 存在刹那
3 反転の論理
IV クワシ・ウルチマ
1 死の存在論
2 隠しの技法
3 ハパックスの論理
V 無人論――わたしはすでに〈外〉で遊んでいる
1 世界劇場
2 内在の超越
3 最期の舞台
終章 他界からの視線
1 帰還するまなざし
2 仮死光線の演劇
3 浄土の錬金術
あとがき
人名索引
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百瀬雄太