










最期に交わした会話、柩に供えたアップルパイ、死後に読んだ父の手記……そうやって、父の死について書いていくうちに起きた心境の変化は、私の、あるいは、私の哲学の核心に触れるものだった。
哲学者の著者が、父の死をきっかけに書き綴った、喪失と回復の道のりを優しくたどるエッセイ。
「どうしてじいじは死んじゃったの?」
息子の問いに、私はうまく答えることができなかった。
大切な人を亡くしたとき、私たちはどうやってそれを受け止めたらいいんだろう?
【装丁・装画】鈴木千佳子
はじめに
1. 十円玉と骨
2. 死んだらどうなるの
3. 盆踊りの夜に
4. 帰札
5. 聖橋にて
6. 追憶
7. 幸せを感じる練習
8. 死のイメージ――死と孤独α
9. 一周忌
10. 死の抑圧――死と孤独β
11. 喪失の後で
12. ローリー・ポーリー
13. 生きているうちに、死を語る――死と孤独γ
14. 父の手記
15. 母
16. 献杯
訃報を待つ
おわりに
著: 岩内 章太郎(イワウチ ショウタロウ)
1987年、札幌生まれ。豊橋技術科学大学准教授。早稲田大学大学院国際コミュニケーション研究科博士後期課程修了。博士(国際コミュニケーション学)。専門は現象学を中心にした哲学。著書に、『〈私〉を取り戻す哲学』(講談社現代新書)、『新しい哲学の教科書 現代実在論入門』(講談社選書メチエ)、『〈普遍性〉をつくる哲学 「幸福」と「自由」をいかに守るか』(NHKブックス)がある。