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世菜さんのZINE『あなたを食べて生きてきた』をうちの店でお取り扱いしはじめてから、あれよあれよという間に売れましたが、その世菜さんがナルミニウムさんという方と一緒に作られた、『あなたを食べて生きてきた』以前のZINEが実は、2冊あります。
『推察』というものと、『推察の推察』というものです。
この2冊はともに、ナルミニウムさんと世菜さんによるもので、どちらも、「推し」をめぐる、いや。「「推し」をめぐる」という言葉で一括に記号化してしまうのは憚れるほどの、強靭な〈恋〉や〈愛〉や〈尊敬〉や〈畏敬〉や、誰かを大事に思うことや、誰かがこの地上に存在してくれていることで救われるという事実や、誰かと誰かという関係それ自体にまつわる問いかけや、思わず溶け合い一体化してしまうような恋愛の秘儀にまつわるはなしやなんかの、とにもかくにもどうしようもなく突き動かされ、どうしようもなく惹かれ、動かされ、どうしようもなく「推し」てしまう…人間というものの、その不思議さを、簡潔になにかを分析して終わるというのでなく、全身全霊で、さらけ出し、剥き出し、なんというのか、生きて思考すること、感ずることをやめない、変わり続けるふたりが共に語り出す、そういうこう、紹介文を書くにしても思わず熱くなってしまうような、そんな対話や、剥き出しの文や、愛する対象のことを思う思考や、それを愛してしまう自分自身たちをともに考える。そういう熱量のものすごいものが、『推察』というかたちで、さらけだすZINEピクニックという場所で、販売され、そちらはもう売り切れとなっているのですが、最後の1冊を僕が買わせていただき。読んで。とにかく熱にあてられてしまい、ぐだっとした。
僕にもかつて何人も「推し」とでも言えるようなアイドルやなんかがいろいろいたりしたけれども、「推す」ことについて、こんな熱量で考えたことはなかったので、ああなるほどなあとか、そうなのか?、とか、そうかあとか、ほおほおとか、なんだか消化しきれないままに、ぐだっと疲れて、疲れるほどの大きなものをもらって『推察』を読み終えて、『推察の推察』を読んだら、『推察』とくらべてこちらはその『推察』の思考や対話の熱量などをぐっと凝縮したような感じになっていて、自省的に、熱いものは宿らされながらも静かに、そして核をぎゅっとつめるように…彼女たちはまた、書く。語りあう。
『推察』は売り切れなのですが庭文庫に僕が買った1冊を置いておこうと思います。みなさんが読めるように。
『推察の推察』は、『推察』の話とつながってはいるけれども、『推察』を読まなくても1冊の本として完結的に読むことができるものになっているので、そもそも彼女たちはきっとこれからもずっと強靭に変わり続けるので、これから出てくる彼女らの言葉のいずれを読み通したとしても、彼女らのことを理解しきることはできえない、だから『推察の推察』からでも大丈夫です。きっと。
声優。韓国アイドル。いやきっと、どのような職業の方を推しているかには、あまり問題がない。
誰かのファンになったことがある人。アイドル好きな人。声優好きな人。好きな芸能人とかいる人。ルッキズムとかジェンダーとかフェミとか興味ある人。女の子。男の子。今を生きていて、なんだか生きるのが辛くて、文章書いたり絵描いたり歌ったり踊ったりしてる人たち。誰かへの想いが断ち切れない人。誰かを愛する人、恋する人たち。そうだ。愛を知るすべての人たち。それを生き、それをもっともっと深く考えてみたい、感じてみたい、そうしてついにはそういうZINEまで出しちゃう彼女らに、なんだか惹かれてしまう方々へ贈ります。
これは生きる書物だ。僕はそう思う。
『推察の推察』。1000円税込。
「推し」ます。
✳︎ もっと詳しく知りたい方は、ぜひ、noteでナルミニウムさんが書いている「zine『推察の推察』振り返り」という記事を読んでみてください。僕の内容を説明できない紹介文よりも、きちんと内容がよくわかるかと思います。
世菜さんナルミニウムさんともにnoteをやっておられるので、よかったら読んでください。よろしくです。